秘密の地図を描こう

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「マリューさん!」
 キラがブリッジに飛び込むように入れば、そこにはすでに他の者達がそろっていた。
「ボルテールからの連絡では、月面に高エネルギー反応があるそうだ。もっとも、あの場所からでは、地球もプラントも直接狙えないはずなんだが……」
 バルトフェルドがそう言う。
「……あの、謎の建造物を使えば、可能ですか?」
 収束器ではないかといわれていた廃プラントを利用すれば、レーザーの方向は変えられるのではないか。キラはそう告げる。
「……その可能性は十分ありますね」
 手元でデーターを確認していたニコルが顔を上げるとうなずいて見せた。
「外見上からでも、これが角度を変えられることは推測できます」
 さらに彼はそう付け加える。
「……つまり、かなり射程角度は広い、と?」
「はい。それに、多少のエネルギーロスを覚悟すれば、他にもいくつか方法があります」
 ラウの問いかけに彼はそう言い返す。
「ミラーか」
 そう呟いたのはバルトフェルドだ。
「反射させればどこでも狙える。確か、ザフトでも研究されていたはずだ」
 さらに彼はそう付け加える。
「えぇ。確かに」
 ラウがすぐに肯定をした。
「こちらが考えていたものならば、あちらが気づいたとしてもおかしくはないでしょう」
 しかも、と彼は続ける。
「これだけでぶりが産卵している状態では、ミラーぐらいなら簡単に隠せますからね」
 厄介だ、と彼は眉根を寄せた。
「なら、二手に分かれた方がいいですね」
 キラはため息とともに言葉を口にする。
「収束器を壊すグループと本体を叩くグループに」
 おそらく、そのどちらかの近くにジプリールはいるのではないか。そう続けた。
「可能性は高いな」
 バルトフェルドもそう言ってうなずく。
「それで? 俺たちはどちらを担当するんだ?」
 今の自分達には二手に分けるだけの戦力はないぞ、と彼は問いかけてくる。
「僕たちは収束器を。あれを破壊すれば、当面はオーブにもプラントにも被害は及ばないはずです」
 それに、とキラは続けた。
「フリーダムとミーティアなら、あれを破壊するのに適していると思います」
 巨大なものを破壊するなら、と付け加える。
「あちらの方はザフトにお任せしてもかまわないでしょうし」
 その結果、ジプリールを捕縛してくれるなら、それはそれでかまわない。
「確かに」
 キラの言葉に納得したというように、周囲の者達はうなずいてみせる。
「ニコル」
「わかっています」
 ラウの言葉に、即座に彼は言い返す。
「じゃ、俺はエターナルに移動する。こちらはお任せするがかまわないな?」
 バルトフェルドはバルトフェルドでマリューに確認をとっている。
「大丈夫ですわ。ロアローク三佐とあの三人もいますし」
 キラ達が出撃をしても心配はいらない、と彼女は微笑む。
「わかった。キラのことはお前に任せてもいいな?」
 今度はラウへと視線を向ける。
「当然のことでしょう?」
 即座に彼はそう言い返す。
「……そう言うところがかわいくないんだよ、お前は」
「あなたに『かわいい』と思われても嬉しくないですからね」
 だから、どうしてそうなるのか。
「……ニコル」
「放っておいた方がいいと思いますよ。それよりも、あちらではすでにディアッカ達が出撃したそうです」
 そう言いきれる彼はすごいと言っていいのだろうか。一瞬そう考える。だが、今はそれどころではないと思い直す。
「なら、急がないとね」
 まずは、被害を最小限に抑えること。それを優先しよう。そう考えて、こう言った。


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最遊釈厄伝